悪質な不動産屋の手口「囲い込み」
- 2018.08.31
- 不動産知識
こんにちは、千葉・市原周辺の建売分譲住宅を仲介手数料無料でご案内しておりますクラシェル不動産です。
自宅を売却したいと考えたとき、不動産屋に相談しに行くのが一般的だと思います。
その際に不動産屋を選ぶ基準ってなんでしょうか?
CMをやっているような有名店なら安心? 大手を選べば安心? 地元に古くからある会社なら安心?
もし選定する基準が上記であるなら、騙される確率が非常に高くなります。
不動産会社が得をし、お客様が損をする「囲い込み」とは
不動産仲介というのは、売りたいというお客様と、買いたいというお客様とをお繋ぎする仕事です。どちらか一方だけしか存在しなければ、そもそも取引が成り立ちませんので、売主と買主の双方がいる必要があるわけです。
ですが、売りたいというお客様から不動産売却の依頼を受けた業者(不動産会社)が、タイミングよくその物件を買いたいというお客様をすぐに見つけることができるでしょうか?
普通に考えてもらえば分かることですが、物件価格が相場より安いとか、人気エリアにある物件などといった場合でなければ、そんな都合よく見つけられるわけがありませんよね。
そこで売主側の仲介業者は、レインズという不動産流通情報システムに依頼された物件を登録します。ここに登録されることで、日本全国の不動産会社が住まい探しをしているお客様たちに、その売物件を紹介することができるようになるんです。
当然ながら、売主側の仲介業者が一社で探すよりも、複数の業者が買い手となるお客様を探した方が早く買い手を見つけられるので、一般的には売主側の業者(元付)と買主側の業者(客付)の二社が間を取り持って取引を行うことになります。
ところが不動産会社の中には、報酬のためにこれを「良し」としないところがたくさんあります。
不動産会社の報酬は法律により上限が定められており、400万円を超える物件の仲介手数料は「物件価格の3%+6万円」となっているんですが、これは片方のお客様からもらう手数料の上限なので、もし元付業者(売主側仲介業者)が買主となるお客様を見つけてきた場合は、売主買主の双方から3%+6万円をもらうことができるんですね。これを両手取引といいます。
勘のするどい方ならお気づきになったかもしれません・・・そう、悪質な不動産会社は両手取引をするために、売却を依頼された物件を自社以外が取扱いできないようにするんです。これを「囲い込み」といいます。
囲い込まれた物件はなかなか売れません。それもそのはず、なんせ元付業者が一社のみで買い手を探すわけですからね。そんな簡単に買い手が探し出せるなら、そもそも法律でレインズへの登録義務※1 を課すこともありません。
つまり、売主の利益保護のために国が考えたことを、自社の利益のために無視しているのが「囲い込み」というわけです。売主にとっては、まさに百害あって一利なしです。
大手不動産会社ほどやっている「囲い込み」
日経新聞や週刊誌などでも取り上げられたので、ご存知の方も多いかもしれませんが、大手不動産会社の両手取引率は異常なくらい高いです。「他所に客付させてはいけない」という暗黙の社内ルールがあると噂される会社もあります。
レインズに登録されている物件をお客様にご案内し、興味を持たれて内見をご希望されたので、元付の大手不動産会社に連絡すると「商談中です」と回答されて断られる・・・こんなことは日常茶飯事ですよ。本当に商談中ならいいんですけど、いつでも商談中だから叩かれるわけです。
他にもレインズに図面を登録しないということもやります。間取りすらわからないような物件をお客様に案内できるわけありませんので、結果的にどこも問い合わせをしない=「囲い込み」となります。要はレインズへの登録が義務※1 だから仕方なく登録しているだけで、他所に客付させる気がまったくないわけです。
※1. 一般媒介を除く
このように、大手だから安心ということはありません。テレビCMをやっている有名フランチャイズ店も同じように平気で囲い込みをやります。地元に古くからある不動産屋だって同じことです。
要するに「○○だから安心」ということはないってことなんです。
お客様より売却依頼を受ける際、通常は専任媒介、もしくは専属専任媒介で引き受ける不動産会社がほとんどです。その理由は「元付となるのが自分たち一社だけ」になるからです。
これが一般媒介ですと、買主は複数の業者に売却依頼をすることができるため、不動産会社にしてみると、専任媒介か専属専任媒介で引き受けたいわけです。
ですが、これは業者にとってメリットがあるだけでなく、売主にとってもメリットとなります。
例えば、一般媒介での依頼となった場合、業者としてはちょっと扱いづらい案件となります。あえて悪い言い方をするならば、力を入れずに手を抜きます。
確かに自社で受けているので、買い手を見つけてくれば両手取引になって美味しいことは間違いありません。しかしながら、一般媒介契約では他所の業者に依頼されることがあるため、時間や労力、広告料などを費やした結果、他所に持っていかれる可能性もあるわけです。
そうしたリスクを考えると、一般媒介の場合はあまり頑張らないというのも仕方ないことだといえます。これは善い悪いの問題でなく、商売である以上あたりまえのことです。
そういった点からも、専任媒介や専属専任媒介での契約の方が、売主と業者の双方にとってメリットがあるわけなんですが、囲い込みの手口として流行りだしたのが「あえて一般媒介契約を結ぶ」という方法です。
巧妙化する囲い込みの手口
通常は売却の依頼があった場合、物件の調査をして価格を査定し、媒介契約(専任・専属専任)を結んで、レインズに登録するという流れになるんですが、一般媒介契約の場合、複数の業者と契約できる特性上、レインズへの登録は任意となり義務が発生しません。
つまり、それを逆手にとって、売主が不動産取引について詳しくなさそうな客であったときは、あえて一般媒介契約にしておいてレインズへの登録義務から逃れるということをします。
売主が複数の業者に売却依頼をしなければ、レインズに登録してない物件はどこの業者もお客様に紹介できません。なんせ売物件の存在そのものを元付以外誰も知らないんですからね。そうやって売物件を隠しながら、両手取引を狙うわけです。
そのため、もし業者から「一般媒介で行きましょう」と言われたら、「かまいませんが、レインズには登録してください」と返事してください。もしそれで登録を渋ったり、専任媒介へと話しを切り替えるようなら、囲い込みを狙っている悪質な不動産会社である可能性が非常に高いといえます。
また、悪質な不動産会社は物件を囲い込んで他所の業者に客付させず、売れずにしばらく経ったころに何食わぬ顔で売主にこう言ってきます。
「価格を下げましょう」と。
売主からすると、こんな大手の不動産会社でも売れない、こんな有名店でも売れないなら、やはり値段が高すぎたのかもしれない、と考えて素直に応じます。
酷いケースでは内見客の偽装なども行います。要するにサクラです。内見客は頻繁にくるけれども誰も買わない・・・こうした状況がいつまでも続くと、価格に問題があるのかもしれないなんて思ってきますよね。そして「価格を下げましょう」につながります。
売れない原因は「囲い込まれているから」なんですが、それを知らない売主は言われるがままに値下げに応じてしまいます。なんせ大手不動産会社がそう言うんだからそうに違いない、と。
囲い込みをされなければ最初の価格で売れたかもしれないのに、騙されて値下げに応じることで数百万円を損することになります。
「こういうこともありますよ」ではなく、こういったことばかりやってるのが不動産業界です。だから皆さんから胡散臭いと思われるのでしょうね。確かにそのとおり実際に胡散臭い業界です。大手ですらこんな感じなんですから。
それではそういった被害にあわないためにはどうすればいいのでしょうか?
必ずチェックすべき項目
物件の売却を依頼したら、媒介契約の種類を問わず、すぐにレインズへ登録させるようにしましょう。規定でそれぞれ何日以内とありますが、それに関係なく急がせましょう。登録が遅ければ遅いほど、全国の不動産会社に売物件を認知してもらうのが遅れる訳ですから、売れるのも遅くなります。
たかが数日と侮ってはいけません。不動産取引においてタイミングというのは超重要です。数日どころか数十分の差で売れたり売れなかったりすることがある世界です。売主にとって何が最善かを考えるのであれば、レインズへの登録は早いに限ります。
そして登録してもらったら、必ず登録証明書をもらいましょう。登録証明書には確認IDとパスワードが記載されているので、レインズのサイトで状況を確認することができます。
また、登録証明書の図面項目が「有り」になっているかもチェックしてください。図面(間取り図)がない物件なんて、どこの会社も紹介しません。もし「無し」になっているようなら、すぐ載せるように言いましょう。
そしてもっとも重要なチェックポイントが「広告転載区分」です。
これは、元付以外の業者(客付)も、不動産ポータルサイトや自社サイトなどで物件を紹介できるかどうかについての項目です。
ここが「不可」になっていると、基本的に客付業者は店頭に来たお客様にしか物件を紹介することができません。今の時代、お客様はインターネットで物件探しをする方がほとんどです。ネットに掲載することができなければ、それだけ露出が減るということになるので、売れにくくなります。
つまり、売主自身が望んで広告転載区分を「不可」にしているのでなければ、その元付業者は両手取引を狙った悪質な不動産会社であると言える訳です。
ところがこの「広告転載区分」は登録証明書に書かれてありませんので、確認するためには業者の元でレインズのページを見せてもらう必要があります。
上記の画像はレインズの登録ページの最下部項目になります。赤い丸を付けたところをチェックしてください。広告転載区分は不可、そして図面は登録されていません。
レインズのページを見せてもらう際は、必ず抜き打ちで行きましょう。事前にレインズをチェックさせて欲しいと連絡してしまうと、売主が来る前に「可」に修正されてしまいます。そして売主が帰った後でまた「不可」に戻されるだけです。
「勝手に広告を出されると管理しきれなくて何かあると困るから」などと、もっともらしいウソをつく業者もいますが、広告についての管理責任は広告を出稿した広告主にあり、客付業者に広告を許可したことで元付業者が管理責任を問われることはありません。
もしレインズで広告転載区分が「不可」となっていたり、いつまで経っても図面を登録しないような業者なら、違う不動産会社に変更した方がいいです。
まとめ
すべての大手不動産会社や有名店が囲い込みをやっているわけではありませんし、古くから営業されている地場の不動産屋に信頼できる会社はたくさんあります。ただし選ぶ際の基準として、○○だから安心なんていうのはないことを覚えておいてください。
騙されたという人は、騙されていたことが分かったから「騙された」というのであって、大半の人は騙されたことにさえ気づかないで取引を終えています。
自分がそうならないためにも、物件売却を依頼される際は、必ず「専任媒介契約で、レインズには可能な限り早く登録し、図面や物件画像も登録した上で、必ず広告転載区分を『可』にしてください」と頼みましょう。
こうやって指示を出すのと、元付業者にお任せとでは、売却までに要する時間や最終的な売却価格に間違いなく差が出ます。
そして暇な時には不動産ポータルサイトで依頼した売物件を検索してみてください。広告転載区分が「可」になっている物件は、たいてい数社がポータルサイトに掲載していますので。
後になってから後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
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